犬の乳腺腫瘍とは、どのような病気なのかについて、「特徴」、「症状」、「治療方法」、「予防方法」についてご紹介します。
腫瘍といっても、いろいろな腫瘍があり、悪性の度合いや信仰の度合いもさまざまです。
それにより、治療法が変わってくることもあります。
また、「乳腺腫瘍」は犬が発症する腫瘍でな数少ない予防が可能な腫瘍です。飼い主として、愛犬を守るために知識をここで身につけてください。
1.乳腺腫瘍とは

乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)とは、乳腺にできる腫瘍の一つです。
避妊手術を行っていないメスに発症しやすい傾向があります。
犬の乳腺は、犬の乳首の数と同じ10箇所あります。
それぞれが、頭側の乳腺は前足の脇の下のリンパ節にお尻側の乳腺は後ろ足の鼠径(そけい)のリンパ節に繋がっており、それぞれが乳腺腫瘍を発症する可能性があります。
1-1.「乳腺腫瘍」と「乳がん」
「乳がん」は、悪性の腫瘍になります。
それに対して、「乳腺腫瘍」は「良性腫瘍」の場合が多く、早期に発見し切除すれば完治する可能性があります。
悪性である確率は「50%」、そのうち「25%」が転移しにくく、手術により切除すれば、根治が可能なものになります。
よって、乳腺腫瘍のうち「75%」は手術により根治可能ということになります。
「根治と」は:腫瘍をすべて取り除くこと。腫瘍自体の切除に加えて、腫瘍の再発や転移しないように、転移する可能性がある臓器や組織などを全て切除すること。
2.乳腺腫瘍の特徴

乳腺腫瘍の特徴として、10歳までの若い時期に発症することが多く、稀にオスにも発症するケースがありますので、愛犬がオスだからと言って絶対に発症しない病気ではありません。
女性ホルモンの影響を受けて発症する腫瘍のため、避妊手術をすることで、発生率を少なくすることができます。
- 避妊手術をしていない雌犬の場合:約1/4(4匹に1匹の確率)
- 避妊手術をしている雌犬の場合:約1/200(200匹に1匹の確率)
犬に乳腺腫瘍が発症した場合は、二分の一の確率で良性と悪性が分かれます。
2-1.乳腺腫瘍が悪性の場合
悪性の腫瘍だった場合は、リンパ節や肺に転移することが多く、そのほかにも、肝臓、腎臓、脾臓へ転移する可能性があります。
2-1-1.腫瘍である可能性
- 腫瘍の大きさが500円玉程度(直径3センチ)を超えている。
- 腫瘍の境目がわかりづらい。(曖昧)
- 腫瘍部分の皮膚が潰瘍(かいよう)を起こしている
【潰瘍(かいよう)とは】
皮膚や粘膜や角膜などにできる、組織の破損で深い部分の組織に至る特徴がある。
- 高齢である。
- 腫瘍の位置から離れた組織に転移している。
これらの条件に当てはまる場合は、腫瘍が「悪性」である可能性が高くなります。
3.乳腺腫瘍の症状

乳腺腫瘍は、乳腺に対して一箇所または複数の箇所の乳腺付近にできます。
発見のタイミングとして、獣医さんいよる「健康診断」やトリマーさんによる「ブラッシング」をしている時に発見します。
しこりなどの早期発見は、コミュニケーションやスキンシップなど触れ合うことがとても大切です。
3-1.乳腺腫瘍の様子(youtubeより)
YouTubeに「乳腺腫瘍」を発症している子の動画がありましたので、ここでご紹介いたします。
愛犬のためにもしっかりと様子を確認してください。
「maru wann」さんのYouTube動画です。アップするか迷いましたが少し目を背けたくなるような画像があります、苦手な方はスルーしてくださいね。ランはもう少しで14歳になります、数年前から乳腺腫瘍と心臓病と闘っています。乳腺腫瘍は4~5年前に手術をして見た目はキレイになりましたがまた出てくる可能性が高いと先生がおっしゃっていましたがやはり出てきました。そしてその時はもう人間で言うとかなりのおばあちゃんなんですねぇ。。。病気もあるし手術は無理なんです。徐々に徐々に少しずつ少しずつ弱っていますがマダマダ頑張ってねでもあまり無理はしないでね。
愛犬がこのようになってしまうととても飼い主さんもとても辛いと思います。
ですが、その他の飼い主さんと愛犬のためにこういった動画をアップしてくれたのだと思います。
乳腺腫瘍の予防方法は「避妊手術」になりますが、どうしようか決めかねている飼い主さんは、この動画を参考にしっかりと愛犬のことを考えてあげてください。
3-1.炎症性乳癌(えんしょうせいにゅうがん)
炎症性乳癌は、とても悪性の強い炎症性乳癌です。
症状としては、強い炎症が起き、発熱や赤く晴れるなどの症状を伴います。
また、一般的なしこりとは違い、痛みも伴います。
外科手術による治療は難しく、腫瘍を取り除く手術を行ったとしても、すぐに再発します。
炎症性の乳癌は、外科手術による治療はとても難しい腫瘍です。
薬を使用し、痛みを緩和させる程度の治療しかできないのが現実です。
4.乳腺腫瘍の原因

乳腺腫瘍には悪性のものもあるため、とても恐ろしい病気です。
この腫瘍の主な原因は、性ホルモンが深く関わっていることが分かっています。
そのため、避妊手術を受けることで、発症のリスクが低くなることが分かっています。
その他の原因として、1歳までの期間に肥満であると発症するリスクが高まると言われています。
4-1.発症リスクの高い犬種
- プードル
- イングリッシュセッター
- ボストンテリア
- コッカースパニエル
- チワワ
- ダックスフント
- マルチーズ
- イングリッシュスプリンガースパニエル
- イングリッシュセッター
- ブリタニ―スパニエル
- ジャーマンシェパード
- ポインター
- ドーベルマン
- ボクサー
など
主に、プードルやテリア、スパニエル系に多いとされています。
5.乳腺腫瘍の治療法

乳腺腫瘍の主な治療は、腫瘍の切除です。
腫瘍のみを切除しても再発の可能性がありますので、乳腺の全てを切除します。
ですが、年齢など愛犬の体力をしっかりと検討し部分的に切除する場合もあります。
外科手術による切除がどうしても難しい場合は、お薬による治療になります。
お薬による治療は、副作用もともないますので、愛犬への負担と看病を行う飼い主さんにとても負担がかかります。
5-1.治療費
乳腺腫瘍の治療法は主に外科手術による切除とご説明しましたが、治療費がどのくらいかかるのかをご紹介します。
一回の手術には、いろいろな費用がかかります。
乳腺腫瘍による外科手術の費用例
- 診察
- 入院
- 検査
- 全身麻酔
- 手術
- 病理検査
- 注射
- 処方(お薬)
動物病院により費用に差はありますが、「10万円」前後かかります。
特に「検査」「麻酔」「手術」で「7万円」程度かかります。
また、大型犬の場合や入院の日数が長くなった場合は、追加で数万円かかります。
個人的には意見ですが、愛犬の腫瘍が10万円程度で治るのであれば安いと思いますが、「乳腺腫瘍」については手術後に再発する可能性があります。
また、再発を早期発見するために、定期的な診察も必要になります。
「再発」や「お薬の定期的な服用」や「再発の確認のための定期検診」を含めると、数十万円はかかると考えて良いでしょう。
ペット保険や緊急時のための貯蓄は必要不可欠になります。
6.乳腺腫瘍の予防法

根本的な原因は分かっていません。
可能性として、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンのバランスが影響しているのではないかと考えられています。
原因がわかっていないため、明確な予防法はありませんが、早期(生後7ヶ月前後)に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発症を抑えられることが分かっています。
子供を作る予定がない場合は、早めに「避妊手術」を行うことが大切です。
腫瘍が発生後に避妊手術を行なっても、腫瘍が小さくなることはありません。
発生してしまった腫瘍は、外科手術により切除が必要になります。
「愛犬の虚勢手術による変化」去勢手術のメリットとデメリットを紹介
6-1.愛犬のニーナ♀も避妊手術をしました(キャバリア・キングチャールズ・スパニエル)
私も愛犬ニーナの避妊手術には抵抗がありました。
子供を産む予定は全くなかったのですが、漠然と「かわいそう」というふうに考えていました。
ですが、家族からの助言により、いろいろな病気のリスクを抱えていることをしり、手術に踏み切りました。
しっかりと知識を得てから判断することが大切です。
知識があれば、愛犬をいろいろな危険から守ることができます。
7.乳腺腫瘍のまとめ

乳腺腫瘍は、悪性の可能性がある腫瘍です。
ですが、犬の腫瘍の中でも数少ない予防法がある腫瘍でもあります。
明確な原因は不明とされていますが、「女性ホルモンのバランス」が影響しているのではということです。
このことから、「避妊手術」が有効な予防方法だといえます。
避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生率を1/200まで抑えることができます。
愛犬に避妊手術を行うことが可哀相だと思う気持ちもあると思います。
ですが、「避妊手術」が愛犬を重大な病気から守る手段でもあることを知ってください。
また、早期の避妊手術が重要になりますので、メスの愛犬が家族にいる場合は、早期(生後7ヶ月まで)に避妊手術の決断をしてあげることがとても大切です。