「愛犬の心臓に寄生する!」フィラリア症の症状・治療法について解説します
犬フィラリア症という病気はどういったものなのか?
症状と治療法を解説します。
1.フィラリア症とは

犬が感染するフィラリア症は、「犬フィラリア症」といいます。
「犬糸状虫」(寄生虫)と言われている「フィラリアの幼虫」を持っている蚊に犬が刺されることで、感染してしまいます。
あの有名な、忠犬ハチ公の死因の一つがフィラリア症だったと言われています。
1-1.フィラリアによる影響
フィラリアは白くて細長い麺のような姿をしていて、写真で見るととても気持ち悪い寄生虫です。
成長すると長さが25㎝~38㎝程度になり、心臓や肺動脈などに住み着きます(寄生)。
寄生するとどんどんと数を増やし、臓器全体を埋め尽くし、心不全や呼吸困難を引き起こしてしまいます。糸上の白い寄生虫が心臓などの臓器にぎっしりと絡まった状態です。
悪化すると、 最悪の場合犬の命を奪ってしまうことになるのです。
次は、フィラリア症に感染してしまう原因や感染の予防方法、治療方法などを詳しく紹介します。
2.フィラリア症の原因や感染
フィラリア症の発症の原因は、蚊からのフィラリアの寄生によるものです。 ここでは、感染経路や体内での様子についてご説明します。![]()
2-1.フィラリア症の感染経路
フィラリアを持っている蚊が犬を刺すことで、針を伝って幼虫は犬の体内に侵入します。
犬の体内に侵入したフィラリアは、筋肉や脂肪の周りで生活をしながら成長し、感染か約半年かけて約2回脱皮を行い幼虫へと成長します。。
犬の体内で活動を始めるのは、幼虫まで成長した段階です。
細い血管を通って心臓や肺動脈に侵入します。
最終寄生場所に到着するとその場所から動くことはなく、毎日「ミクロフィラリア」と言われるフィラリアの幼虫を生み出し続けます。
フィラリアは犬の血中では成長することはできないので、血流にのって体内を循環し、別の蚊に刺されるのを待ち続けます。
犬が別の蚊に刺されなかった場合は、約2年でフィラリアは死んでしまいます。
フィラリアに感染した犬が別の蚊に刺されると、循環していたミクロフィラリアは血液と一緒に蚊の体内に移動し、幼虫に成長をして、刺した蚊から改めて犬に寄生します。
これを繰り返してフィラリアはどんどん成長をしていくのです。
蚊に刺されたら100%フィラリアに感染されるのか蚊に刺されたからと言って、必ず犬フィラリアに感染するというわけではありません。
ほとんどの場合は成虫になる前に成長過程でフィラリアは死んでしまいます。
寄生されたら必ずフィラリア症になるというわけでなく、発症リスクはそこまで高くありません。
どれがフィラリアが成長するのかはわからないので感染しないための予防が大切です。
フィラリア症に感染したらどういう症状が現れるのかフィラリア症の重症度は、成長したフィラリアによって変わってきます。
3.犬フィラリア感染の症状

フィラリアは犬の体内で成長することはできません。ということは、どれだけフィラリアを持っている蚊に刺されたかで症状が変わってきます。
頻繁に刺されてしまうと寄生するフィラリアは増えていくので危険な状態になってしまうことがあります。
成長したフィラリアは、主に心臓の右心室にある肺動脈に寄生します。
右心室に寄生すると、十分な血液を流すことができなくなります。
右心室に戻ってくる血液も十分に戻ってこれなくなります。
散歩の途中でぐったりしてしまったり、「はぁはぁ」と息切れを起こすようになります。
また、「咳」が出たり「腹水」が溜まってしまうなどの症状がでることがります。
3-1.犬フィラリアに寄生された時の影響
感染した際の症状の進行具合には二種類あります。
3-1-1.少しずつ症状が重たくなってくる慢性的なケース
少しずつ、着実に症状が悪化してくるのが慢性的なケースです。
長期間フィラリアが心臓に住み着いてしまうので、フィラリア自身が分泌する成分で心臓や血管が徐々に傷つけられます。
また、長期にわたり寄生すると、最大38㎝になる長細いフィラリアが心臓にいることになるので、 心臓が上手く動かなくなってしまったり、血流が悪くなったりします。
◉血流が悪くなると
肺に十分な血流が行き渡らなくなるので、乾いた咳や身体を動かしたくならないなどの様々な症状が出てきます。
愛犬の様子に、ちょっとでも異変を感じたら動物病院を受診してください。
3-1-2.急激に悪化していく急性的なケース
フィラリアに寄生された犬は、 ほとんどが少しずつ体調が悪化してくことが多いですが、稀に急激に容体が悪化してくこともあります。
突然血尿が出たり、最悪の場合急死してしまう可能性もあります。
こういった急激に体調が悪化することを「急性フィラリア症」といいます。
急性フィラリア症の別名
- 「急性大静脈症候群」
- 「ベナケバシンドローム」
- 「後大静脈症候群」
と呼ばれることもあります。
これらは、フィラリアに寄生されることで、心臓の機能が極端に低下してしまう状態の事をいいます。
フィラリアが心臓の中でも特に重要な弁や血管に寄生しまうことです。
赤血球が破壊され、破壊された赤血球が尿に混ざって血尿が起こり、呼吸困難などの状態異常を引き起こします。
3-2.急性フィラリア症になってしまった場合
すぐにでも手術をしないと数日中には命を落としてしまう可能性が高いと言われています。
尿血が出たらすぐに動物病院を受診してください。
ただし、手術で全て取り除くことができたとしても、感染や手術によって心臓はダメージが残ってしまいます。
その為ほとんどの場合は、継続して治療を行っていくことになります。
取り除くことができても後遺症が残ってしまう可能性もあります。
4.フィラリアの予防方法

フィラリアに寄生されてしまってからでは、治療法は犬の状態によって違ってくるので、完治が難しい場合があります。
犬の年齢や体調によっては、しっかりと治療できない場合があります。
その為、日ごろから寄生されないように予防することがとても大切です。
4-1.フィラリアの予防は二種類あります。
- 蚊の防除
蚊に刺されないように犬を蚊から守ってあげる方法
- 薬の投薬
定期的な投薬で体内から守ってあげる方法
この二種類の方法がります。
ですが、現実的に、蚊を全て排除するのは無理ですし、絶対に刺されないようにするのも不可能です。
その為、定期的なお薬を飲む方法が一般的は予報方法になります。
予防する薬の種類は主に3つあります。
- 内服薬
- 塗布薬
- 注射薬
これらの方法は、フィラリアに寄生されないようにするための薬ではなく、犬の体内に侵入してしまったフィラリアを死滅させて、成長させないようにするための薬です。
投薬は定期的に投与を行っていくことになります。
また、寄生された時の治療に比べると犬への負担はかなり少なくなります。
投与の期間主に5月ごろから約1か月後をスタートとして、11月から感染期間終了の1か月後までになります。
大体5月下旬から6月上旬までまたは、11月下旬から12月上旬くらいまでの期間に行います。
ここで注意することがあります!
それは、投薬開始前にフィラリアに感染していないかどうかを確認することです。
犬が薬を吐き出してしまっていたり、体内の調子が優れずに薬を吸収できてなかったりすることがあると効果が薄れ、しっかりと効果を発揮していない可能性もあるからです。
犬がフィラリアに感染されていたとした場合
薬を使用することで大量のミクロフィラリアが死滅することになります。
その結果、犬がショック状態になってしまう可能性があります。
また、「大動脈症候群」になってしまうことも考えられるので、必ず血液検査等を行い、投薬前にフィラリアに感染しているかを確認してください。
獣医さんが判断してくれることではありますが、大切な愛犬のために飼い主さんもしっかりと知識を蓄え、検査を行っていない場合は、獣医さんに相談してください。
4-2.蚊に刺されるリスクを減らす
蚊が増えてくる時期と同時に、蚊がたくさん生息する場所に遊びに機会が自然と増えてしまいます。
ちょっとした注意
- アウトドアに出かける
- 散歩する
などの蚊に刺されるリスクがある場所へいく場合は、お薬の投薬をした上で、さらに虫除けスプレーなどを使用して蚊に刺されるリスクをとにかく回避する様にしましょう。
フィラリアに感染するリスクについては、犬種や毛並み等により違いはほとんどありません。
ですが、住んでいる地域により、蚊の生息数が多ければ感染のリスクが高くなります。
暖かく蚊が発生しやすい時期は、お散歩コースを変更し、川沿いや草むらを避けることも予防になります。
フィラリアの予防薬はインターネット等で販売されていることもありますが、犬の体に合わない場合もありますので、
必ず獣医師さんに相談し、
お薬を処方してもらうことをおすすめします。
フィラリアに感染してしまうと、治療を行っても何かしらの後遺症が残る可能性がありますので、日頃の予防をしっかりと行い、暖かい時期の屋外での行動には気をつけることをおすすめします。
5.治療方法
予防により感染しないことが大切ですが、感染する可能性をなくすことはできません。
ここではそれらの治療法をご紹介します。
5-1.駆虫するための薬を飲む
別の蚊から刺されたことで寄生された幼虫の駆虫を行い、寄生している成虫が自然に減少するのを待つ方法です。
幼虫はある程度成長しないと体内で寄生場所に到着する可能性は低く、成虫にならなければ新しいフィラリアを生むこともないので、犬の体への影響を最小限に抑えることができます。
5-2.手術で直接フィラリアを取り除く
フィラリアを体内で死滅させるのではなく、外科手術で直接フィラリアを摘出方法があります。
手術の内容は、頸静脈から長い金属製の鉗子を入れて、肺動脈から寄生されているフィラリアを取り出していきます。
「大動脈症候群」の応急処置として使われている方法です。
大量のフィラリアに寄生されていて、元気で体力のある犬にも行う場合ある処置です。
麻酔などによる犬の体への負担もありますので、全ての犬にできるという訳ではありません。
5-3.フィラリアの幼虫の予防をしっかりと行いながら成虫の寿命が来るのを待つ。
成虫の感染自体が少なく、フィラリア症の症状が出ていない場合は予防を行いつつ成虫の寿命が来るのを待ちます。
この方法は無症状で、仮にフィラリアに寄生されていなかった場合は、予防にもなります。
ただ、寄生されていて、フィラリアが体内にいた状態の時にこの方法を使用すると、フィラリア症から回復しても血管や肺、心臓などに受けてしまったダメージや障害は残ってしまいます。
5-4.フィラリアの治療法ができない場合
加齢の犬や、体力が手術に持たない場合は、対処療法を行います。
手術による摘出や駆虫薬に耐えられないと判断された犬に対して使われる最後の方法です。
体内のフィラリアには何も手を加えず、
になります。 咳を抑えたり詰まった腹水を抜いてあげたりしながら症状に応じて対処治療を行っていく方法
この方法は、長期的にフィラリアが生存してしまうこともあり、症状が急激に悪化してし、 命を落としてしまうといった可能性がります。
対処療法中は、日常生活においては心臓や血管に負担をかけないように安静にして過ごしてあげることが大事になります。
そして、高品質ドッグフードでバランスのとれた食事をさせてあげましょう。
そうすることで、犬の体内の免疫力も高まります。
6.まとめ

フィラリアは蚊の体内から寄生虫が犬の体内に寄生する病気です。寄生したフィラリアは犬の体内で成長し、数を増やします。
フィラリアに感染すると、死んでしまう可能性のあるとても恐ろしい感染症です。
基本的には日頃の予防がとても大切になります。
暖かい地域では、蚊の数が多いので、お散歩コースを変更することも予防になります。
川沿いや草むらを避けることで、蚊に刺されるリスクを減らすことができます。
治療法としては、投薬から手術がありますが、手術による治療は犬の体に大きな負担をかけることになりますので、犬の体調や年齢によっては、治療が難しい場合があります。
治療が難しい場合は、対処療法を行います。
フィラリアによる症状を和らげるお薬を投与する方法です。
この方法はフィラリアを長期的に体内に止めることになる場合があるので、犬の体に大きな負担がかかります。
基本的には、予防がとても大切になります。
予防のお薬は、インターネットなどでも購入できますが、わんちゃんの体に合わない場合がありますので、絶対に動物病院の獣医さんに相談してお薬を処方してもらうことをおすすめします。
フィラリアはしっかりと予防していても感染してしまうことがあります。
そう言った場合は、症状によっては手術を行う必要があります。
また急を要する場合もあります。
そう言った時のために、日頃から愛犬の健康管理をしっかりと行い、愛犬の元気を維持することに努めることをおすすめします。
お散歩やコミュニケーション、ドッグフードなど、どれが欠けても健康維持は難しくなります。
愛犬は大切な家族です。
飼い主さんがしっかりと健康維持を管理してあげましょう。
健康は食からです!