脂漏性皮膚炎は、犬の引き起こす皮膚炎です。
犬の皮膚は人間よりも薄く、非常にデリケートな為いろいろな疾患を引き起こしてしまいます。
肌のバリアする機能が低下することで皮膚の状態が悪くなります。
皮膚の症状例
- 乾燥
- 脂っぽく
皮膚疾患にはいろいろありますが、比較的引き起こしやすいのが「脂漏性皮膚炎」です。
「脂漏性皮膚炎」どんな病気なのか、注意してあげこと、どういう治療を行ってあげれば良いのかを紹介します。
1.犬のフケについて
脂漏性皮膚炎の説明の前に、犬のフケについてしっかりとご説明します。
犬のフケは皮膚病の大きなサインになるからです。
また、フケについてしっかりとした知識を得ておくことで、いざという時に冷静に対応できます。
犬の皮膚の表面や毛に白い粉のようなものが見つかったら、それはフケの可能性があります。
犬の不毛の原因はいろいろあり、極度に緊張するとフケがでることがあります。
犬の場合は、健康であればまずフケが出ることはほとんどありません。
フケが出ている場合は何かしらの異常が起こってしまっていると考えて良いでしょう。
病気が原因でフケが出ている場合もあるので、洗って済ませるのではなく、獣医師に相談することをおすすめします。
次になぜフケが出てしまうのかと、原因や対策を確認します。
2.フケとは何なのか
フケは、古くなった皮膚が剥がれ落ちたものです。
毛が生えてないところの皮膚はフケにはならずアカとなって落ちてしまいます。
しかし、毛が生えている所は、皮膚は垢にはならずにフケとなります。
犬の皮膚は3週間程度で入れ替わります。
人間と同様に、犬にもターンオーバーがあります。
そして、フケができる原因は、皮膚の持っているターンオーバーが関係しています。
皮膚は複数の層が重なっていて、常に皮膚の下から新しい細胞が生まれています。
新しく皮膚が生まれることで古い細胞が表面に押し出され、剥がれ落ちます。
「肌のターンオーバー」と言います。
この一連の流れを古くなった皮膚は「角質」と言われ、「フケ」となって表面に出てきます。
ターンオーバーは皮膚の中で常に行われており、大体21日間程度でターンオーバーを繰り返しています。
2-1.健康的な犬であってもフケは常に出る
健康的な犬はフケがとほんど出ないとご説明しましたが、それでも常にフケは作られています。
原因は、皮膚のターンオーバーは健康的な犬でしっかりとしたサイクル(周期)で行われているからです。
何かしらの病気になってしまっている犬に比べると、一度に作られるフケの量は少なくてとても細かい為、ほとんどの場合は肌表面に出てきても確認が難しく、常在菌によって分解されてしまい、フケが出ていないように見えるのです。
2-2.フケにも種類がある
フケにも種類があります。
- 乾性フケ
- 脂性フケ
一般的には、白くてカサカサしている「乾性フケ」と呼ばれている方が肌表面に出てきます。
あまり聞かない「脂性フケ」は、脂っぽい感じで、匂いが強いです。
どちらも同じフケに分類されますが、原因は違いますので、対処法も違ってきます。
まずは犬の肌表面に現れているフケがどちらのタイプなのかをしっかりと確認することをおすすめします。
2-3.フケの異常角化とは
病気になるとフケが異常に増えてしまう理由も肌のターンオーバーが関係しています。
ターンオーバーは、健康的な犬は21日間で生まれ変わりますが、これのサイクル(周期)が早くなると「異常角化」が起こってしまいます。
そして、「異常角化」が増えることで細菌が処理できなくなり、フケが目立つ様になります。
「異常角化」は皮膚への刺激で起こると言われており、皮膚の炎症や感染や乾燥などの刺激を受けてしまうと皮膚はターンオーバーを早めに繰り返すことになり、ターンオーバーを早めに行うことで肌を守ろうとするのですが、古くなって剥がれ落ちる角質は増えることになるので、フケの量が増えるということになります。
それでは次に、脂漏性皮膚炎はどういう病気なのかをご紹介します。
3.脂漏性皮膚炎(脂漏症)とは
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)(脂漏症)は、「マラセチア」と言われている酵母の一種で引き起こされる皮膚炎をいいます。
「脂漏性皮膚炎」は、マラセチア皮膚炎といわれることもあります。 その為、
「マラセチア」というのは、マラセチア酵母の一種で、犬の外耳道や肛門嚢、指の間、唇、皮膚の粘膜などに常に存在している一般的な酵母の一つです。
マラセチアは犬の皮膚腺から分泌される脂質を栄養として食べて犬と共存して生きています。
ですが、何かしらのきっかけで病原体となってしまうことがあります。
病原体となってしまう原因は明確にはわかっていません。
憶測になりますが、宿主である犬の免疫力が低下し、原因ではないかと思われます。
脂漏性皮膚炎は、皮膚が赤くなり、ベタベタした脂性フケが増えると疑われる病気になります。
また、匂いが気になることが多く、かゆみもあります。
子犬から老犬まで幅広く発症する可能性がある病気す。
慢性化すると毛が抜け落ち、皮膚が黒ずんで分厚くなってしまいます。
脂漏性皮膚炎になりやすい犬種
- シーズー
- ウェストハイランドテリア
- ホワイトテリア
が好発犬種とされています。
4.脂漏性皮膚炎(脂漏症)の原因は
次に、脂漏性皮膚炎の原因はいくつか考えられますので、簡単に紹介します。
4-1.遺伝が原因
脂漏性皮膚炎は、発症しやすい犬種がいます。
これらの犬種を飼っている場合は、皮膚の状態は常に意識して確認あげることをおすすめします。
4-2.皮脂環境が変化が原因
何かしらの原因で、マラセチアが常に存在している皮膚表面の角質層に変化が起こってしまうことで脂漏性皮膚炎が起こる場合があります。
皮膚環境の変化の例
- 長すぎる被毛による皮膚の温度や湿度の上昇
- 成長や老化によりシワができている
- 角化異常や皮脂腺からの異常な分泌
など
4-3.食生活が原因
食生活の中で栄養が偏ってしまうと、身体に異常を起こしてしまうことがあります。
脂漏性皮膚炎も同じことが起こる場合があります。
脂質を多く摂りすぎても良くないですし、少なくてもダメです。
また、ビタミン、ミネラルなど栄養素が不足しても良い影響はありません。
愛犬の健康を維持するためには毎日の食生活を常に気を付けてあげてください。
愛犬の食生活をしっかりと管理するには、ドッグフードが一番の近道です。
間違えて与えてはいけない食材を与えてしまう危険性や栄養が偏る心配もありません。
4-4.ホルモンの異常(分泌障害)が原因
甲状腺ホルモンや性ホルモンなどの体内に存在するホルモンの分泌障害で脂漏性皮膚炎を発症してしまうことがあります。
ドッグフードを見直してあげるだけで改善することがあります。 犬のホルモンバランスは、
また、サプリメント売られています。
そう言ったものも積極的に活用していくと良いでしょう。
毎日の食事が大切になりますので、一度愛犬の食事を見直してみてください。
最終的には5.脂漏性皮膚炎の治療方法
脂漏性皮膚炎の治療において、「マラセチア」の治療だけを行っても改善はしないことがあります。
しかし、マラセチアの治療することで改善する症状もあります。
マラセチアの治療により改善する症状
- 脱毛していた箇所が発毛する
- 赤みやベタベタする耳垢が少なくなる
など
皮膚の炎症や外耳炎などが改善されていきます。
症状が治ったからといって治療を止めてしまうと、
再発することがあり、継続的な治療が必要になってしまう場合があります。
「マラセチア」の治療は、愛犬の体をしっかりと洗ってあげることで改善されます。
この場合、皮膚炎の治療に効果的なシャンプーがあり、マラセチアの除去に効果たあるものを中心に使用することをおすすめします。
マラセチアの栄養源は皮脂です。
フケは皮脂の塊なので、マラセチアの栄養源になります。
その為、愛犬の被毛や皮膚を清潔に保つことで、マラセチアの除去に効果があります。
シャンプーの頻度は、基本的には週1回で問題ありません。
犬のシャンプーの頻度としては多いように感じるかもしれませんが、保湿剤で肌を守ってあげれば問題ありません。
マラセチアの除去には湿度が大敵です。
シャンプーをした後はしっかりと愛犬の被毛を乾かしてあげることがとても大切です。
指の間や足裏などもしっかりとタオルで拭いてあげてください。
また、仕上げにドライヤーでしっかりと乾燥させることをおすすめします。
水分を身体に残さないことが大事になります。
5-1.皮膚炎治療用シャンプーの方法
脂漏性皮膚炎の治療でよく使われるシャンプーですが、正しい方法で使用することで予防や改善につながります。
間違った方法で使用すると、逆に効果です。
フケを増やしてしまう原因になる場合があります。
5-2.正しいシャンプーの使用方法(洗い方)
シャンプーの泡は手で泡立ててはダメです!
犬の被毛に直接つけてから被毛で泡立てるようにします。
人間の髪の毛の様に優しく洗うのはダメです。
汚れをしっかりと落とすため、「ゴシゴシ」としっかりと洗ってください。
シャンプーが残らない様にしっかりとすすぐのはダメです。
すすぎはしっかりとしすぎないようにしてください。
飼い主さんは愛犬が痛くないような洗い方をしてしまいますが、ある程度は力を入れてしっかりと洗ってあげることが大切です。
犬は、自分では手が届かない箇所を痒がっている場合があるので、
しっかりと洗ってあげると気持ちいい表情をしますので、表情をみながら洗ってあげましょう。
シャンプーをした直後にフケが出てしまっている場合
- 洗い方が間違っている可能性が高い
- 皮膚のコンディションが悪い
- フケをそのまま放置していると、皮膚病が悪化してしまう可能性があります。
- 正しい洗い方をしていてもフケがなくならない場合もあります。
そう言った場合は動物病院で獣医さんの診断を受けることをおすすめします。
5-4.シャンプーはどんなものを選べば良いのか
脂漏性皮膚炎の治療で使われるシャンプーは、抗真菌剤が含まれた薬用シャンプーを使うのが効果的です。
使用するシャンプーの種類や回数や頻度については、犬の皮膚の状態によって違ってきますので、獣医師さんに相談し指導してもらうことをおすすめします。
「元々アトピー性皮膚炎を持っている」場合や「アトピー性皮膚炎を併発してしまっている」場合は、刺激の強いシャンプーを使うと、アトピー性皮膚炎の症状が悪化してしまう可能性があります。
薬用シャンプーを使った後はしっかりと乾かしてあげてください。その後に、犬用の保湿クリームを塗って保護してあげることをおすすめします。
脂漏性皮膚炎の治療で最も大切なのはスキンケアです。
しかし、シャンプーの選び方、洗い方、頻度などを間違えてしまうと、症状が悪化したり、愛犬に辛い思いをさせることになります。
まずは定期的に獣医さんの診察を受けて、皮膚の状態をチェックしてもらうことをおすすめします。
脂漏性皮膚炎は一度症状が落ち着いても、再発する可能性があります。
脂漏性皮膚炎は、耳の中が脂っぽくなったり、耳のかゆみなどを引き起こしてしまう外耳炎も一緒に引き起こしてしまう可能性があります。
外耳炎を引き起こしてしまった場合は、耳洗浄や点耳薬などを使用することもあるので、獣医師に相談してみましょう。
脂漏性皮膚炎は常在菌の一つであるマラセチアが大きく関係している病気ですが、上手に付き合っていくためには皮膚の上にある常在菌全体のバランスを整えることをしっかりと意識していくことが大事になります。
脂漏性皮膚炎を悪化させないように、スキンケアの継続と定期的な受診で上手に付き合っていってあげましょう。
6.まとめ
ここでは、脂漏性皮膚炎という皮膚の病気についてご紹介しました。
この皮膚炎症状は、乾燥や脂っぽくなるという症状があります。
それにより、愛犬の被毛にフケがでるようになります。
このフケは愛犬の肌のターンオーバーにより出るものなのですが、その周期の異常により多く出てしまったりします。
フケにも種類があり、乾燥しているフケ、脂っぽく匂いのあるフケがあります。
脂漏性皮膚炎は「マラセチア」という酵母の一種で引き起こされる皮膚の炎症です。
一般的に、犬の体表に住んでいる普段は異常を引き起こさないものです。
愛犬の老化などによる免疫力の低下や肌の状態の悪化により、悪影響を起こします。
詳しい原因は不明ですが、愛犬の体を清潔にすることで、多少は改善されます。
特定の犬種に発症しやすいと言われていますので、飼い主さんは自分の愛犬の犬種を確認してみることをおすすめします。
原因にはいろいろがあり、遺伝や皮脂環境の変化、ホルモン異常や食生活などがあります。
とくに食生活については、飼い主さんが気を付けてあげることで改善できますので、是非試してみてください。
基本的には健康をしっかり管理されていることがとても大切になります。
治療方法は、愛犬の肌、被毛を清潔に保ってあげることと、正しい方法で、皮膚炎用のシャンプーを定期的にしてあげることが大切です。
シャンプー後はしっかりと被毛を乾かしてあげることもとても大切になります。
皮膚炎用のシャンプーの正しい使用方法は、ここでも説明しましたが、使用頻度などの細かなことは、獣医師さんの指示にしたがって行ってください。
逆に悪化したりする場合があります。
この病気は、健康で免疫力が正常な愛犬には発症しにくい病気ですが、愛犬の毛の中にフケを発見したら、自分で判断せずにすぐに動物病院で受診することが大切です。
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